シリーズ「もっと愛して黒ビール!」の2回目。
今回のお題は、「黒ビールの色はどうして黒い?」です。
漆黒に輝く黒ビール、この黒ビールはどうして黒いのでしょう。理由は簡単。黒い原料を使っているからです。
もっと黒ビールの魅力に気づいてほしいという願いを込めて、
- 美味しい黒ビールに出会ったことがない方
- どうせ苦いんでしょ…って敬遠している方
- ワイン、コーヒーがお好きな方
- そして特に女性(ガージェリーの黒は女性ファンも多いのです)
そんな皆さんにこの記事を捧げます。
「黒色」はモルトから
- モルト(麦芽)
- ホップ
- 水
- 酵母
この4つがあればビールを造ることができます。このうちビールの色を決めるのはモルトです。
最初に掲げた写真はチョコレートモルト。きれいなこげ茶色をしていますね。
一方、一般的なモルトは下の写真のような色をしています。ビールの黄金色をイメージさせる、明るいきれいな色です。これをコーヒー豆のようにローストすればチョコレートモルトの出来上がり。黒ビールは、そのチョコレートモルトを使って造るのです。
クリスタルモルトとチョコレートモルト
「GARGERY STOUT」、「GARGERY23 BLACK」の醸造では2種類のローストしたモルト、クリスタルモルトとチョコレートモルト(呼び方はモルトメーカーによって様々です)を使います。この2種類は、簡単に言うとローストの程度が異なります。
下の写真の左から、
- ローストしていないペールエールモルト
- モルト内部がカラメル化するよう軽めにローストしたクリスタルモルト
- さらに強いローストをかけたチョコレートモルト
違いがお分かりになりますか?
(1)のようなローストしていないモルトだけでビールを造ると、皆さんお馴染みの黄金色のビールが出来上がります。
一方、(2)、(3)のようなローストしたモルトを使うとビールの色は黒くなっていきます。ただし注意して下さい。ローストしたモルトだけを使ったのではビールを造ることはできません。
ローストしたモルトの使用比率はたった20%
思ったよりも少ないでしょう。黒ビールを造る時に使うローストしたモルトの比率は多くても20%程度。残りはローストしていないモルトです。たった20%のローストしたモルトで、ビールは漆黒に輝くのです。
ローストしたモルトだけではビールはできません
それなら、もっともっと黒くするためにローストしたモルトだけでビールを造ったらどうなるの?って考えませんか。残念ながらそれではビールはできません。理由は…ちょっと小難しい話になりますので、読み飛ばしていただいてもOKです。
モルトを高温でローストするとモルト内部の酵素が不活性化します。特に強いローストがかかるチョコレートモルトは内部の酵素が完全に不活性化しています。ビールの仕込における糖化はモルトの酵素の働きによりますから、酵素が不活性化しているローストしたモルトだけでは糖化ができず、ビールができないというわけです。
ベースとなるモルトと組合わせて使用することによってビール醸造が可能になり、加えてローストモルト由来の芳しい香味が両立するのです。
今回はここまで。日本では今一つ不人気で、立場が弱い黒ビールですが、世界的に見れば決して少数派ではありません。皆さんに黒ビールをもっと知っていただくために、次回もあの手この手で魅力を紹介していきます。