絲山秋子、角田光代、小川糸、川上健一、島本理生、・・・これら錚々たる作家の皆さん。実は、GARGERYを飲んでいただき、素敵な物語を書いてくださった方々なのです。
(Illustration by Tomoko Okada)
POPと共に広がる素敵な世界
ガージェリーが飲めるお店で、写真のようなカード、ポスターを目にされた方、いらっしゃると思います。これはPOPと呼ばれるもので、要は、お客様にガージェリーをアピールするための小道具。メニューと一緒に置かれていたり、店内に掲示されたりしています。
このPOPを作る時、ただ商品の写真を載せるだけではつまらない、一杯のガージェリーが届けられるまでの間、ガージェリーならではの世界を皆さんに楽しんでいただきたい、そう思って考えた企画が、「Story of GARGERY」でした。
作家の皆さんをはじめ、文章を書くことを生業としている方々に実際にガージェリーを飲んでいただき、そこからイメージする世界をショート・エッセイで表現していただいたのです。そして、そのエッセイを、POPのもう一方の面に掲載しています。
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2004年1月の第1回以来、既に22篇の「Story of GARGERY」が誕生しました。どれも魅力的な作品なのですが、その中から私が好きな作品を中心にいくつか紹介しましょう。
絲山秋子さん 「禁断の20分」
記念すべき第1作。GARGERYが持つ「非日常性」を見事に表現していただいたと思います。「きらめく街は、私の共犯者だ。」というフレーズにしびれます。私は、絲山さんの「海の仙人」がとても好きです。絲山さんはこの後、第134回芥川賞(2005年下期)を受賞されました。
角田光代さん 「あの人がくるまでのあいだ」
一杯のビールが心を和ませる。そして待ち人との出会い。GARGERYが素敵な脇役を務めています。角田さんはこの後、第132回直木賞(2004年下期)を受賞されました。
小川糸さん 「再会」
若い人がお酒を飲まなくなったと言われます。でも、いいお酒を飲むことで広がる世界がある。その味を知れば新しい世界に入っていける。若い皆さん、ちょっと背伸びをしてみてください。この作品は2008年、ちょうど「食堂かたつむり」が出版された頃に書いていただきました。その後の大ブレイクは皆さんご存知の通り。
穂高明さん 「もう一度、おめでとう」
夜の街にほのかに浮かび上がるBARのサイン。リュトン・グラスに映るキャンドルの炎。一日の自分を見つめ直すGARGERYの世界です。
川上健一さん 「どこかで誰かが」
私は川上健一さんの大ファン。「翼はいつまでも」がとても好きで、是非、川上さんにも書いていただきたかった。その思いが実現し、いかにも川上さんらしい、心温まるストーリーにまとまりました。ビールとはちょっと関係なかったですが、イラストレーターの岡田知子さんに書いていただいたイラストを合わせて雰囲気を作り上げました。
島本理生さん 「あなたを待っていた」
こんな場面を演出できるビールでありたい。人生は一人ではない。ついホロっとしてしまいます。
これらの他にも魅力的なエッセイが満載。是非、こちらの「Story of GARGERY」から、あなたのお気に入りの一篇を探してみてください。
「Story of GARGERY」では、2011年もお二人の方にエッセイを依頼しています。次回は、2009年に三島由紀夫賞を受賞された劇作家、前田司郎さん。そして、もうお一人は、私もとても楽しみにしているあの方・・・まだ内緒です。どうぞお楽しみに。