久しぶりになりました… ガージェリーがお届けする「ビールサーバー取扱いマニュアル」のトラブル対応編。今回は、比較的良くあるトラブルの一つ「泡が出ない!」の巻です。
樽詰ビールを注ぎ出すためのビールサーバーでは、皆さんご存じの通り、注ぎ口(タップ)のハンドルを手前に引くとビール、奥に押すと泡が出る仕組みなっています。この仕組みについては過去の記事で詳細に解説しました。
>> ビールが出たり、泡が出たり – ビールサーバー注ぎ口の秘密(新タイプ編)
>> 1ラインでビールも泡も – ビールサーバー注ぎ口の秘密(旧タイプ編)
トラブルの原因を見極めよう
泡が出ない…というトラブルは、ハンドルを奥に押しても泡が出てこない(泡が立たない)という現象です。このトラブルの原因は次の2つが考えられ、それぞれの見分け方も簡単です。
- ビールの気抜け
→ ハンドルを押すと液体は出てきますが、それが泡になりません。 - タップ内部の弁棒の泡ライン詰まり
→ ハンドルを押しても何も出てきません。
ビールの気抜けは炭酸ガス圧力が低すぎ
泡が出ない原因で一番多いのがこれ。樽詰ビールにかける炭酸ガスの圧力(減圧弁の設定圧力)が低すぎて、樽内のビールから炭酸ガスが抜けてしまった、いわゆる気抜けになってしまったという現象です。ビールの泡が立つためには、適切な炭酸ガス含量が保たれていることが必須条件です。適切な炭酸ガス含量は、温度と圧力の適切なバランスによって保たれますから、炭酸ガス圧力が温度に比べて低過ぎるとビールから炭酸ガスが抜け出てしまうのです。
例えば、気温が上がってくる春から夏にかけて、気温が低い冬の条件に合わせた炭酸ガス圧力設定(低め)にしているとこの現象が起こり易くなります。特に、樽内のビール残量が少なくなった時に顕著に発生します。平衡圧グラフを参考に、適切な炭酸ガス圧力設定をしましょう。
詳細については、以下のブログ記事を参考にしてください。
>> 炭酸ガスを制する者、ビールの泡を制す
泡ライン詰まりは分解洗浄で解消
ビールサーバーの泡出し機能は、ビールを注ぎ出す際に、細い流路を勢いよく通すことによって泡立たせるというものです。従って、この細い流路が詰まってしまうと泡が立たないどころか、何も出て来なくなるのです。
まずは、ビールの注出口であるタップの構造のおさらいです。
内部には弁棒と呼ばれるステンレス製の部品があります。それを分解すると以下の通り。①から②の部品の中央に細い穴が貫通しており、それが“泡ライン”です。
②の部品の右側から撮ったのが下の写真。矢印の先に細い穴が見えます。この穴が詰まってしまうとビールが流れなくなり、泡が出てこなくなるのです。もちろん液体も出てきません。この現象は、当然ながら、酵母やホップ粕等がビールに残っているガージェリーのような無濾過ビールの方が起こり易くなります。
ということで、タップのハンドルを押しても何も出てこない状態になってしまったら分解洗浄します。上の写真の状態まで分解し、②の部品の左側を口にくわえて吹いたり吸ったりします。多くの場合、吸った時に口の中に何か飛び込んできます(笑)。
さて、いかがでしょうか。樽詰ビールで泡が出ない原因は、ほぼ間違いなく、これら二つの内のどちらかです。タップのハンドルを押した時に、液体は出てくるのか、液体も出て来ないのか…これが見極められれば解決はすぐそこです。