樽詰ビールをお取扱いいただいている飲食店からのSOSで比較的多いのが「炭酸ガス漏れ」。ひどい場合は、シューシューという音がするくらい漏れているケースもあります。このガス漏れトラブルは原因箇所さえわかれば対処は簡単。ほとんどの場合、パッキン類の劣化か紛失が原因ですから、原因箇所のパッキン類を交換、もしくは補填すれば解決です。
今回は、ガス漏れ箇所のチェック方法と、パッキン類破損の実例を紹介します。
ガス漏れが多いのはディスペンスヘッド周りですので、まずはその構造のおさらいです。特にパッキン類を頭に入れてください。
さらに、ヘッド本体の内部も見ておきましょう。内部には重要部品「Oリング」が装着されています。
ガス漏れ箇所の特定は石鹸水で
ガスが漏れているような音がする、ボンベの減り方が速い気がする…そんな現象や兆候を感じたら、まずガス漏れチェックをしましょう。
方法は簡単です。キッチンで使っている石鹸、洗剤等で石鹸水を作り、ブラシ等を使ってガスが漏れる可能性がある箇所にたらしてみるだけです。チェック箇所は以下の通りです。
- ① ヘッド本体とシリンダーの隙間
- ②③ ガスホース接続部(ホース側、本体側の両方)
- ④ ヘッドと樽の接続部
ガスホース接続部本体側③からガス漏れしている場合の実例です。このように、チェック箇所に石鹸水をたらすと泡立ってくるのですぐに分かります。
ここには逆止弁(下写真の矢印)が入っていますが、これを紛失するとガス漏れにつながります。ガスホースを外した時に、内部に残った圧力によって逆止弁が飛び出してしまうのはたまにあるケースで、それに気が付かないままガスホースを接続してしまうと、パッキンの役目もしている逆止弁がないのでガスが漏れてしまうのです。
逆止弁には2種類あり、最近は下の写真のようにガスホース接続部と一体になった金属製のものも多くなっています。この場合は逆止弁本体にOリングが付いています(下写真の矢印)ので、紛失することはまずありません。
破損パッキン類の実例
ここからは、破損パッキンの実例を見ていただきながら、ガス漏れする可能性がある箇所を説明します。
ガス漏れで一番多いのは、本体内部のOリングに傷が付くケースです。Oリングは、ヘッド内部に導かれたガスを上下に逃がさない役割を果たしていますので、これが傷つくとガス漏れに直結します。下の写真の矢印部に小さくえぐれた傷があるのが分かりますか? この程度の傷でもガス漏れにつながります。前述の①の箇所からガス漏れします。
次に事例が多いのはガスホース自体の傷付きです。減圧弁やヘッドとガスホースの接続部はワンタッチになっていますが、この内部にはホースを止める爪があるので、何回も抜き差しを繰り返したり、極端な曲げ方をしているとホースに傷が付いてきます。下の写真の矢印部、見づらいですが傷があるのが分かりますか? この程度ではガスは漏れませんが、さらに傷が深くなってくるとガス漏れにつながることがあり、前述の②の箇所からガス漏れします。この場合は傷の外側(写真では右側)できれいに切断してからつなぎ直すと漏れは止まります。なお、スパッときれいに切断するのが重要です。切断面が荒れていると、それが原因でガス漏れすることもありますから。
次はメインガスケット。ヘッド本体と樽のスピアバルブ(口金)との接続部からの漏れを防ぐパーツです。あまり例は多くありませんが、下の写真のようにきれいに割れてしまうことがあります。これは一目見て分かるので気が付き易いです。前述の④の箇所からの漏れですね。
最後にビールライン接続部にある十字パッキン。ここはスポンジ通し洗浄を行う際に脱着を繰り返す箇所なので、下の写真のように首の部分に亀裂が入る例がたまに見られます。これは、ガスよりもビールの漏れにつながります。
私を含めたガージェリーのスタッフは、普段からディスペンスヘッドの消耗部品を携帯しています。もしガス漏れに気が付いたらすぐにご連絡ください。今回のブログで紹介した範囲のトラブルであれば、その場で直ちに解決します。