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ビールの賞味期限は自分で決めよう

ビールの賞味期限がどれくらいだか、皆さんご存知ですか?

昨年12月の記事で、「GARGERY23 Wheat」の4年熟成品を飲んだ話を紹介しました。GARGERY23壜内熟成ビールですから長期間保管しても美味しく飲んでいただけるのですが、普通の缶ビールでも、缶詰のイメージで味が長期間変わらないと思っている人は意外と多いのです。実は、大手ビールメーカーの一般的なビールの賞味期限は横並びで最長9ヶ月となっています。さて、この9ヶ月というのは長いのか、短いのか。はたまた、この期限を過ぎたビールは飲めないのか、この期限以前ならばいつ飲んでも美味しく飲めるのか。そんな疑問に答えるべく、今回はビールの賞味期限について考えてみます。

賞味期限表示

賞味期限って何だろう

壜ビールや缶ビールには必ず賞味期限を表示しなくてはなりません。そういうルール(法律)になっています。そもそも、この「賞味期限」というのはどういう意味なのでしょうか。早速ですが、農林水産省のホームページでチェックしてみましょう。賞味期限の定義を引用します。

定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。

さらには、「おいしく食べる(飲む)ことができる期限です。この期限を過ぎてもすぐに食べられない(飲めない)ということではありません。」とも書いてあります。
ビールの場合、開栓さえしなければ、よほどのことがない限り腐敗するということはありませんから、食品衛生的にはいくら時間が経っても飲んで大丈夫です。でも、美味しいかどうかは別。大手ビールメーカーの一般的なビールの賞味期限は前述の通り9ヶ月ですが、私は、9ヶ月も経過したビールは完全に香味が変化し、美味しく飲める範囲を明らかに逸脱していると思っています。

時間が経過すると何が起こるのか

ビールは、工場の熟成タンクを出た瞬間から、壜や缶の容器の中でも多かれ少なかれ酸素に触れて酸化が始まります。この酸化が、ビール香味劣化の元凶なのです。従って、賞味期限というのは、この酸化による変化をどこまで許容するか・・・ということと同義だと考えてほぼ間違いありません。私は酸化したビールは美味しくないと思っているので、酸化を「劣化」と捉えていますが、もし酸化したビールを美味しいと感じるのであれば、何も言うことはありません。酸化は立派な熟成となります。嗜好品である以上、ここらあたりが難しいところです。

酸化をどこまで許容するのか

「生」だから美味しいのではない – 徹底解説「生ビール」・・・と題した記事の中で、ビール会社の新入社員に試飲をしてもらった時のエピソードを紹介しました。彼らは、製造直後のビールよりも、1~6ヶ月経過したビールの方が美味しいと感じたのですが、これなんかは酸化したビールに慣れてしまうと、それが普通だと思ってしまう典型的な例です。造り手としては、製造直後の香味こそが理想の香味です。そして、普通の濾過ビールの場合、1ヶ月後には別の味、6ヶ月も経つと別の飲み物になってしまう・・・というのが、多少大袈裟ですが私の持論です。皆さんには酸化したビールの味に慣れてもらいたくなく、そのためにも、賞味期限9ヶ月というのは、私には許容しえない設定なのです。

賞味期限は自分で決めよう

繰り返しますが、ビールは基本的に腐りません。ですから「消費期限」ではなく、「賞味期限」が表示されています。しかし、ここまで書いたように、賞味期限前だからと言っていつでも美味しいわけではありません。また、賞味期限を過ぎたからと言って飲めないわけでもありません。タイトル写真から分かるように、月初製造のビールも、月末製造のビールも、賞味期限表示は8ヶ月後の月表示なのですから、最長1ヶ月もの差があります。賞味期限表示自体、月単位での表示で非常にアバウトなのです。
結論です。ビールは人によって香味の感じ方が異なる嗜好品ですので、賞味期限は自分で設定してください。そして私のおススメは、「美味しいビールを飲みたければ、とにかく製造日が新しいビールを選ぶ!」です。ビール売り場の前で銘柄に迷ったら、銘柄ではなく、製造日で選んでください。日本の大手のビールの場合、銘柄の差よりも、製造後の経過日数の差の方が香味に対する影響が大きいのですから。

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