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サーバートラブル ビールが出ない! – 全面凍結はなぜ起こる

前回の記事で、ビールサーバーからビールが出なくなる原因の一つ「スポンジ詰まり」の解決方法を説明しました。
 >> ビールサーバー洗浄マスターへの道 – スポンジ詰まりは逆噴射で解決

ビールが出なくなるトラブルの原因はスポンジ詰まり以外にもあります。その一つが、瞬冷式サーバーの水槽内の水が完全に凍結することによって、配管内のビールまで凍ってしまうトラブルです。これを「全面凍結」と呼んでいます。今回は、この全面凍結が起こる原因、起こってしまった時の対応方法を説明します。ちなみに、樽自体を冷やすタイプの樽冷サーバーではこのトラブルは起こりません。

ビールサーバー内部を覗いてみると

まずは、瞬冷式ビールサーバーの仕組みのおさらいです。以下の記事をご一読ください。
 >> ビールサーバーの仕組みを解説 – サーバーを制する者は樽詰ビールを制す

サーバー内の水槽に氷水を作ることによって、その氷水の中を通り抜けるビールを瞬間的に冷やす…という仕組みでしたね。下の写真を見てください。外側の冷媒コイルの中に冷凍機で冷やされた冷媒が流れ、その周りから徐々に着氷します。内側にはビールが通り抜けるコイルがあり、このコイルが氷水に浸かっていることでビールが瞬間的に冷えるのです。

フロートレススイッチ

氷に閉じ込められるとビールは凍る

ところで、氷がビールコイルに接するとどうなるのでしょうか。氷水の温度は0℃ですが、氷の温度はさらに下がります。ビールはだいたいマイナス4℃程度で凍結し始めますので、ビールコイルが氷に覆われるとビールが凍ってしまうのです。それを防ぐためには、氷がビールコイルに接する前に冷凍機を止めなければなりません。そのためのセンサーが写真中央部に見える電極棒(フロートレススイッチ)です。

水は電気を通すけれど、氷は通さない

意外に思われるかもしれませんが、普通の水(いわゆる水道水)は電気を通します。一方、氷は電気を通しません。つまり、2本の電極棒の間が水の時は電気が流れ、氷になると電気が流れなくなるのです。これをスイッチとして利用します。

もうお分かりですね。冷媒コイル側から徐々に氷ができて電極棒の間に達すると冷凍機のスイッチが切れ、それ以上氷ができなくなります。氷が融けると再び通電して冷凍機のスイッチが入り、氷が作られます。あとはこれの繰り返しです。従って、このスイッチが故障して冷凍機が動きっぱなしになった場合、ビールコイルも氷に覆われてビールが凍り、ビールが出てこなくなるという現象…すなわち「全面凍結」が起こってしまうのです。

全面凍結かどうかは、サーバーの蓋を開けて水槽内を覗いてもらえばすぐに分かります。とにかく、びっちりと氷ができていますから。

全面凍結したら電源を抜いて氷を融かす

「全面凍結」の応急処置としては、まず電源を抜いて冷凍機を止め、氷を融かします。湯を入れて強制的に融かすという手もあります。氷が融ければビールも融け、再び流れるようになります。そうしておいて私に連絡をください。故障したスイッチを交換する手配をします。

前回と今回、「スポンジ詰まり」と「全面凍結」というビールが出なくなる二つの原因について解説しました。次回は、それ以外の原因でビールが出なくなる現象についてまとめてみたいと思います。

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