ガージェリーがお届けする「ビールサーバー取扱いマニュアル」、いよいよトラブル対応へと進みます。
スポンジ詰まりにご注意!
ビールサーバーのトラブルで意外に多いのが、洗浄用のスポンジを詰まらせてビールが出なくなってしまったというもの。年に何回かは私自らその対応に出動します。でも、このトラブルが起こるというのはきちんと洗浄をしてくれているということですから、むしろ歓迎すべきことかもしれません。そもそもスポンジを通さなければスポンジ詰まりは発生しませんから。
>> ビールサーバー洗浄マスターへの道 – 「スポンジ洗浄」で配管すっきり
洗浄用スポンジを詰まらせてしまう原因は、主に次の2つです。逆に、これさえやらなければ詰まることはまずありません。
- 2個以上のスポンジを一度に入れてしまう。
- 配管サイズに比べて大きいスポンジを入れてしまう。
スポンジを2回通すのが面倒だと思われるのか、一度に2個入れてしまうのは良くあるケースです。また、ギネスのサーバーが大きいスポンジを使うため、これを間違えて入れてしまうケースもたまにあります。さらには、台所用スポンジをちぎって作った自家製スポンジを入れて詰まらせてしまったケースもありました。その努力には敬意を表しますが、出てきたスポンジの大きさを見た時にはさすがにびっくりしました。くれぐれもご注意ください。
とは言え、詰まってしまったら何とかしなくてはいけません。さて、どうするのか?
一度詰まってしまうと、無理に圧力をかけても出てくることはないと思ってください。
押してもダメなら引いてみな… そう、解決法は「逆噴射」です。
詰まったスポンジを逆噴射で押し戻す
逆噴射とは… 簡単に言うと、スポンジが出てくるはずのビール出口側から炭酸ガスで圧力をかけて、スポンジを入れたビール入口側へスポンジを押し戻すのです。
それでは、逆噴射の方法を具体的に説明します。
まず、ビールサーバー、あるいはドラフトタワーのタップを外します。外してみると下の写真のようにすり鉢状の穴が開いています。これが通常はビールの出口、すなわち配管内を通過したスポンジが出てくるはずのところです。逆噴射ではここから炭酸ガスの圧力をかけます。
炭酸ガスの圧力をかけるため、炭酸ガスボンベにつながったガスホースを用意します。通常は、ディスペンスヘッドにつながっているガスホースを外して使います。
ディスペンスヘッドからガスホースを外すには、下の写真のように、ガスホース接続部にある樹脂のリング(色は黒や緑が多いです)を向こう側(この写真では左側)に押しながらガスホースを引っ張ります。
この抜いたホースの先端を、先ほどタップを外した部分の穴に手で押さえつけます。これで圧力をかける側の準備は完了です。
次は、スポンジが押し出されてくる側の準備です。ディスペンスヘッドからビールホースを外します。こちらは接続部のカップリングを外せばOKです。この先端から押し出されたスポンジが出てきます。スポンジ通しの逆ですね。
スポンジが飛び出してきてもいいように、外したビールホースの先端をバケツ等の受け容器の中でしっかりと押さえます。
これでスポンジの出口側も準備完了。全体像は下の写真のようになります。写真では、バケツの中に突っ込んだビールホースの先端を放ってありますが、実際の作業の時は、別の方にしっかりと確保してもらってください。この後圧力をかけますので、スポンジが飛び出す時にホース先端がはねる危険があります。
この状態で、炭酸ガスボンベに付いている減圧弁のダイヤルをゆっくりと回しながら徐々に圧力をかけていきます。するとどこかのタイミングで、ビールホースの先端からスポンジがスポン!と飛び出してきます。スポンジが飛び出したら即座に減圧弁ダイヤルを逆に回して圧力をかけるのを中止します。
これでスポンジ詰まりも無事解決。ガスホース、ビールホースを元通りに接続し、改めて、適正なスポンジを1個入れてスポンジ通し洗浄を行ってください。