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冷たければいいのか – ビールの飲みごろ温度に込めた気持ち

毎日蒸し暑いですねぇ~。猛暑の夏、氷点下までキンキンに冷やしたビールが流行っているそうですね。泡が凍っているなんていう不思議なビールもあります。とにかく冷たいものが飲みた~い…そんな気持ちも分からなくはありませんが、ちょっと待ってください…

ビールって、冷たければ冷たいほど美味しいの? …今回はあえてそんな振りから入ってみます。

お馴染みのリュトン・グラス…おっ、台が凍っています。この季節はこんなスタイルで出されると思わず喉が鳴ってしまいますね。特にその日の一杯目は…私もそうです。でもこれ、凍っているのは台の方だけというところに注目。何でも冷えてりゃいいってわけじゃないんです。雰囲気は冷たさを盛り上げ、ビールは冷え過ぎず、このバランスが好いんです。

ESTELLA

喉ごし? 味わい? ビールに何を求めるのか

仕事やスポーツで体を動かした後の一杯、風呂上がりの一杯、冷た~いビールを一気にあおるあの爽快感は何物にも代えがたいものがありますね。こんな時はぬるいビールは願い下げです。爽快な喉ごしが求められていると言ってよいでしょう。味わいとは無縁のビール、もっと言えば“ビールっぽいもの”でも十分にその役を果たします。

一方、一人静かにゆっくりとした時間を過ごしたい、気の置けない仲間とじっくりと語り合いたい、美味しい料理の引き立て役としてビールを楽しみたい、そんな時に冷たいだけのビールはこれまた願い下げです。だいたい冷たすぎるものは味も何も分かりませんからね。こうした時は、高めの温度でも美味しい、味わいのしっかりとしたビールが求められてよいはずです。

とにかく冷やして爽快に飲み干す、じっくり味わいながらお酒としての深みを楽しむ、…私は、この2つの場面に適するビールはそれぞれ全く別の飲み物だと捉えるようにしています。

ガージェリーは“ぬるめ”がお勧めの“味わう”ビール

ガージェリーのお取扱店から良く聞かれる質問の一つに、「グラスは冷やした方がいいですか?」というのがあります。私は、できれば冷やさないでお使いください…と答えるようにしています。

ガージェリーは、その旨みをしっかり味わってもらいたいと思って作っているビールです。冷やし過ぎない温度で、まず香りを楽しみ、次にゆっくりと口に含んでその味わいを楽しみ、最後に鼻に抜ける余韻を楽しむ、そんなスタイルをお勧めしています。飲んでいる最中に温度が上がってきても気にしないでください。温度が上がると一段と香りが立ち、まるで別のビールのような美味しさを味わえるのですから。

また、壜のGARGERY23は常温もお勧めで、そうなるともう日本人の意識にあるビールというカテゴリーに収まりきらない酒になってくると思います。
 >> こちらの記事もどうぞ「粋な飲み手は知っている – 香り立つ常温ビール

暑い夏、ガージェリーは我が道を行きます

ガージェリーを作っている以上、「氷点下の温度を売りにしたり、泡を凍らせたビールなんて……」とあえて声を大にして言います。夏に売り上げが伸びなくても、ビアホールで全く売れなくても、いいんです。ガージェリーは、そういう道を選んだビールなのですから。

「じっくり味わう酒として、ビールのステイタスを上げる。」

ガージェリーを始めた時から変わらぬ私の思いです。ビールの飲みごろ温度ひとつにそれだけの気持ちを込めているということ、猛暑の夏に思い起こしてみました。

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