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エールを超えたエール – GARGERY ESTELLA

2004年6月、「GARGERY ESTELLA(ガージェリー・エステラ)」は、GARGERYブランド第2の商品として産声を上げました。エールタイプのビールが持つ華やかさと、ピルスナータイプのビールが持つ飲みやすさ、その2つを併せ持つ、GARGERY渾身のエール。その全貌を紹介します。

エステラ

主人公ピップが生涯憧れた女性 – エステラ

まずは、その命名の秘密から。
大いなる遺産
「GARGERY」は、ディケンズの小説「大いなる遺産」の登場人物の名前だと紹介しました。実は、「ESTELLA」も同じ小説の登場人物の名前なのです。
GARGERY STOUT」に続く2番目の商品、最初は素直に「GARGERY ALE」にしようかとも考えていました。しかし、今ひとつ冴えない。ああでもない、こうでもないと頭をひねっていた時、「大いなる遺産」の文庫本をパラパラとめくっていた「みねばん」さんから、「エステラなんてどう?」という言葉が発せられました。「エステラ」・・・エールビールの華やかな香り「エステル香」にもつながる優しい響きの女性の名前。ガージェリーと同じ小説の登場人物となれば言うことなし。実にあっさりと決まったのでした。

「大いなる遺産」の主人公の名前は「ピップ」といいます。そして「エステラ」は、ピップが生涯憧れた女性の名前なのです。素敵なつながりですね。

エステラが担った役割とは

2002年12月、GARGERYブランド最初の商品「GARGERY STOUT」が発売になりました。私たちは、この樽詰の黒ビールだけで営業を始め、順調に取扱い店を増やし始めたのですが、どうしても避けられないひとつの問題がありました。

皆さん、飲食店で「生ビールください」とオーダーした時、出てきたビールが「黒ビール」だったらどう感じますか?一瞬怯むのではないでしょうか。樽詰ビールを1種類しか置かない飲食店の場合、その1つを「黒ビール」にするということは非常に勇気がいることなのです。そのため、スタウトはどうしても2番目、3番目の樽詰ビールになってしまいます。

GARGERYもお店のメインビールになれる商品がほしい、開発の条件は次の2つでした。

  • お客様からの「生ビール」というシンプルなオーダーに黙って出しても受け入れていただける。
  • しかし、一口飲めば、いわゆる「普通のビール」と違うことがはっきりと分かっていただける。

エールとラガーの融合

エステラはエールタイプのビールです。しかし、ヨーロッパ伝統のエールビールを模したわけではないのです。

大雑把な一般論として、

■「エールビール」は、上面発酵酵母によって造られるビールで、20℃程度の高温で発酵が行われます。そして、比較的短い熟成期間を経て製品となります。高温発酵による華やかさがある反面、どちらかというとモッタリしたボディ感が特徴となります。

■ラガービールの代表格であり、日本で最も親しまれている「ピルスナービール」は、下面発酵酵母によって造られるビールで、10-12℃程度の低温で発酵が行われます。そして0℃近い低温で一定期間熟成されます。こちらは、すっきり飲みやすい香味が特徴となります。

エステラは、両者の良いとこどりをしました。つまり、上面発酵酵母による高温発酵でフルーティーな華やかさを付与し、通常のピルスナーよりもさらに長期間の低温熟成によってすっきりした飲みやすさも実現したのです。エステラの熟成期間は60日以上を基準としています。これはエールビールとしてはもちろん、国産のピルスナービールと比べても非常に長い熟成期間だと自負しています。

エステラは濃くて苦い、でも飲みやすい

GARGERYの中身を決める旅で、「ビター&スタウト」というキーワードにたどり着いたという話を書きました。エステラはこの「ビター」を実現することも目指しました。
実は、エステラは濃くて苦いビールです。しかし、その濃さも苦さもあまり感じないと思います。その秘密はバランスとコンディション。苦味だけではなく、甘味もしっかりと残しているため、両者のバランスにより苦味だけが突出することがありません。コンディションはこれまでに何回も書いたGARGERYの一番のこだわり。コンディションの良さによる飲みやすさであっさりと飲めてしまうのです。

「7:3」が最高のハーフ&ハーフを生みだす

H&H
エステラを醸造する酵母はスタウトと同じ「London Ale Yeast」。モルト、ホップの原料もスタウトとほぼ共通です(→スタウトの原料はこちらを参照)。違いは、クリスタルモルト、チョコレートモルトを使用しないこと。これらを使わないことで、ビールの色が濃くなりません。ホップはスタウト同様、チェコ、ドイツ産の3種類をブレンドしています。兄弟みたいな関係ですね。その結果、エステラとスタウトの協調性は抜群です。これが最高のハーフ&ハーフを生みだすのです。エステラとスタウトを「7:3」でブレンドしてみてください。GARGERYの3つ目の味が楽しめること請け合いです。
もっとも、エステラ、スタウトの両方を置いているお店でないとできませんが・・・。

「GARGERY ESTELLA」の発売から早6年半。おかげさまで、ビールはGARGERYだけ・・・というお店も増えてきています。上面発酵酵母と長期低温熟成が醸す「エールを超えたエール」。日本のプレミアムビールの新しいスタンダードを目指します。

商品 タイプ(全て上面発酵) 発売
GARGERY STOUT スタウト / 樽詰 2002/12
GARGERY ESTELLA ペールエール / 樽詰 2004/6
GARGERY23 Wheat ヴァイツェン / 壜内熟成 2009/7
GARGERY23 BLACK スタウト / 壜内熟成 2010/5
GARGERY23 Xale ペールエール / 壜内熟成 2012/9
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