今回は、マーケティング責任者である別所の想いを少し書きたいと思います。長文ご容赦ください。
GARGERYが生まれて13年、環境は変わった。
株式会社ビアスタイル21は、2002年7月にキリンビール株式会社の社内ベンチャーとして誕生しました。そして2007年に同社の資本を離れるまでは、ガージェリー・スタウトとガージェリー・エステラ、たった2種類の樽詰ビールだけ、しかも展開エリアを東京のみに絞っていました。当時はデフレの真っ只中、ビール市場もいわゆる節税ビールとしての発泡酒が全盛でした。そんな中、当時の感覚では“超”をつけてもよいくらいのプレミアムビールでしたから、飲食店への案内はなかなかハードルが高く大変でした。
あれから13年以上が過ぎ、ビール市場もずいぶん変わりました。大手ビール各社はプレミアムビールに力を入れ、10年前はやや下火だった“地ビール”は“クラフトビール”として今や一つのムーブメントになり、大手の戦略や商品開発にも影響を与えています。なんて、わかったようなことを書いていますが、GARGERYを展開する上で、大きく“ビール市場”という視点ではだいぶ環境が変わったことは間違いありません。GARGERYをご紹介にうかがっても、クラフトビールブームの流れもあり、素直に興味を持って話を聞いていただける飲食店がかなり増えたと感じています。
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最近、飲食店の方々やお客様と話していると、
「味の評判もいいし、デザインもカッコ良い、せっかくのクラフトビールブームなんだし、問屋さんや酒屋さんに卸したり、ネット通販なんかで販路を広げれば一気に倍々で売れるんじゃないですか?」「スタウトとエステラ以外の限定樽詰ビールなんかは出さないの?」「次の新商品はいつ出すんですか?」
そんなことを聞かれることが多くなりました。
そもそも、そうする余裕もないのですが、正直なところ、やることが得策だとも思っていません。ビジネスとして売上は上げていかなければならない。利益を上げれなければ成り立たない。それが前提ですが、短期的に大きな売上や利益を上げることよりも大事なのは「続けられること」と「存在価値を高めること」。言い換えれば「ブランドをつくること」だと思っています。
それぞれの想いがあり、GARGERYのストーリーがある
綺麗ごとかもしれませんが、私たちは金儲けのためだけに仕事をしているわけではない。誰かと何かを共有したい。自分たちが生きている意味を見出したい。そういうことだってあるはず。自分なりのストーリーがあるのか、それが大切です。
中小規模の地ビール・クラフトビール会社から大手ビール会社まで、同じライン上で売上を競っているわけではありません。大手はシェア争いに関心を持たざるを得ない面もあるでしょうが、それでもそれぞれの存在する意味は、それぞれ胸の中で独自のものを持っているはずです。持っていなければなりません。もちろん地ビール・クラフトビールの会社には、それぞれの想いやこだわりがあります。
2002年に、ガージェリーの商品開発段階で決めたことは、物性的には醸造所を出てから飲む瞬間までのコンディションということに軸足を置きつつ、人々が生活の中で外飲みをするシチュエーションで、その時間をいかに豊かなものにするか、できることなら、こころまで満たすようなビールを提供したい、そしてそのためには飲食店で働く人たちと手を携えていかなければいけない、ということです。
そういう自分たちのストーリーをつくっていきたい、ということに私たちは意味を見出しているのです。それは13年経った今も変わっていません。
「GARGERY」の名前に込められた想い
それから「GARGERY」というブランド名。何度か書いてきましたが、イギリスの作家、チャールズ・ディケンズの小説『大いなる遺産』に登場する心優しい鍛冶職人の名前です。主人公ピップが、予期せず手にした大きな資産のために心惑う人生を送る中、いつも変わらぬ大きな愛情を持って接したのがJoe Gargery(ジョー・ガージェリー)。その名前をつけたのは、飲み手の人生にいつも変わらず優しく寄り添うようなビールにしたいと思ったからです。
いつもそこに行けば会える、変わらない親友のようなビール。
それが「GARGERY」。それが質問に対する答です。
やるべきことの優先順位ははっきりしています。「GARGERY」を愛していただける飲食店を探すことを愚直に続ける。それが一番のブランドづくりです。
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ただ、そうは言っても、お客様やパートナーとの信頼関係をつくることですから時間がかかります。ブランドをつくるには、腰をかがめて我慢する時間が必要です。いたずらに量を求めてあれこれ背伸びをすると、ブランドではなく単なる”商品群”ができてしまいます。あとは前年比とのいたちごっこ。そうしてダメになった商品を数知れず見てきました。
「GARGERY」が生まれて13年。まだ13年と言った方がいいですね。
幸い、今のところ「GARGERY」の状況は悪くないと思っています。けれども、悪循環にはまる罠は知らない間に足元に忍び寄るものです。そういうことにならないように腰をしっかり落としておきたい。たまたま同じ時代、同じ日本で、同じ時間を生きている愛すべき人たちと、ストーリーを共有しながら育てたい。そして、次の世代に「GARGERY」をがっちり手渡したいと思っています。
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こころまでを満たすようなビールを届けたい
外飲みを、もっと楽しく、もっと魅力的にしたい
飲み手の人生に寄り添うような存在でありたい
along with your story
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