今回は、ガージェリー醸造責任者として佐々木が、GARGERYの持つプレミアム(=付加価値)についてお話ししたいと思います。
ガージェリーをある程度ご存知の方が、まず思い浮かべるのは、麦芽100%ビールであるということでしょうか。しかし、これは、ことさら声を大にして言うことではありません。ガージェリーは一般的なビールに求められる“すっきり感”や“のど越しの良さ”を楽しむというよりは、ゆっくりと味わうお酒を目指しています。そのために、より味わい深い香味になる麦芽100%という原料組成を選んでいるのです。最近は麦芽100%ビールが流行りですが、麦芽100%であること自体は特にプレミアムではありませんし、それ以前に、原料としての麦芽はほかの原料に比べて高いわけではありません。むしろ安い原料です。麦芽100%ビールと聞いて、高い原料をたくさん使っているのだからプレミアムビールですよね… という誤解を持たないようにしてください。発泡酒や第3のビールは、原料費を削っているから安いわけではありません。税金が安いだけです。
ではガージェリーのプレミアムはどこにあるのでしょうか。今回は樽詰のガージェリーについて、その秘められたプレミアムを紹介しましょう。
樽詰のガージェリーは長期低温熟成させたビールです。そして、毎日樽詰めして、個別冷蔵配送をしています。
実はこの点が、国内で一般流通する他のビールにはない、まさにガージェリーだけのプレミアムです。
しっかりとした味わいの濃いビールを醸造するためには、より長い熟成期間が必要だと考えています。そのため、ガージェリーは「長期低温熟成」による味づくりを実践しています。
通常、エールタイプのビールは比較的短期間の熟成で出荷されることが多いのですが、ガージェリーはここを変えました。例えばエステラは「エールとラガーの融合」を目指したのです。つまり、エールでありながら、ラガーのように長期低温熟成させます。それによって、濃いビールでありながら、飲みやすさを併せ持つ特徴を引き出しました。これこそ、ガージェリーが持つプレミアムだと考えています。
スタウトは100日以上、エステラは60日以上の熟成期間を確保しています。これは、特別な限定品を除き常時販売しているビールとしては、他に類を見ない熟成期間の長さであると自負しています。
ビール会社は典型的な装置産業であるということをご存知でしょうか。仕込設備はもちろんですが、ビールを発酵、熟成させるタンクをどれだけ持つことができるか、タンクの回転効率をどれだけ上げることができるかが、その工場の製造能力、製造コストに直結します。より多くのタンクを持とうとすれば初期投資額が大きくなり、タンクの回転効率が下がれば製造のランニングコストに跳ね返ってきます。
ここで、熟成タンクで長期熟成させ、そこから毎日樽詰めすることで、どれくらいタンク効率が悪くなるのかを考えてみましょう。
例えば、エステラは60日以上の熟成期間を確保していますから、樽詰を開始するまで少なくとも60日間はタンクを占有します。さらに、熟成終了後、一度にまとめて樽詰めするのではなく、その日の注文本数だけ毎日樽詰めしていきますから、タンク1本が空になるまでさらに占有期間は伸びます。タンク回転効率は、年間365日÷(60日+α)ですから、せいぜい5回転程度しか期待できないわけです。
一方、熟成期間30日で一度にまとめて樽や缶に詰めてしまう場合はどうでしょうか。この場合は熟成さえ終わればすぐにタンクが空きます。年間365日÷30日ですから、実に12回転もすることになります。5回転と12回転… これは大きなコスト差となります。
以上の通り、製造工程で「長期低温熟成させる」というのはとても大きなコストになります。原料の使用量を多少増やすこととは比べ物になりません。しかし、味わいのために敢えてそこにこだわり、ガージェリーの香味を造り出しているのです。
ガージェリーの考える“プレミアム”の一端をご紹介しました。美味しいもの、長く愛されるものにはきちんとした理由がある…。 そう信じ、こだわりを持った、妥協しないビールづくりをこれからも続けていきたいと思います。
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