前回のビールサーバー記事で、ビールが冷えなくなる原因の一つとしてフィルターの汚れがあることを取り上げました。
>> 樽詰ビールが冷えない – フィルター掃除してますか?
実はこれ以外にも、ビールが冷えなくなる、つまりサーバー内の水槽に氷ができなくなる原因があります。それは、水の劣化です。
水って劣化するの? …電気的に劣化すると言うのがいいかもしれません、水道水が古くなると本来あるはずの電気を通す性質が失われてしまうことがあるのです。
ちなみに、下の写真は氷ができていない状態のサーバー内部です。写真の下側から右上に向かて銅配管が見えますね。この中に冷媒が流れていて、正常であれば銅配管の周囲に着氷します。目視したり、手を入れて触ってみると着氷しているかどうかすぐに分かります。
ビールサーバーには水道水を
ここでおさらいです。
ビールサーバーの冷凍機は、水槽内の2本の電極棒の間に電気が流れている時(電極棒の間が水の場合)に作動し、電気が流れなくなると(電極棒の間が氷の場合)作動しなくなる…と説明しました。
>> サーバートラブル ビールが出ない! – 全面凍結はなぜ起こる
そうです、ビールサーバーには電気を通す水を入れる必要があります。身近にある電気を通す水とは…水道水です。水道水には様々なイオンが存在しするため一定の電導度を有するのです。
では、水道水が古くなってその電導度が低くなってくると何が起こるのか、…電極棒の間が水であっても電気が流れなくなるため、センサーが氷ができたものと勘違いして冷凍機を止めてしまうのです。
同じ理屈で、水槽に浄水器を通った水を入れると最初から冷凍機が動きません。浄水器を通った水はイオンが除去され、電気を通さない水になっているからです。そのため、ビールサーバーにはある程度の電導度を持った水道水を入れることが必要なのです。
ビールサーバーの水交換
水の劣化により冷凍機が動かなくなってしまったらどうするか…簡単ですね、ビールサーバーの水を交換すればよいのです。
まずは水を抜く方法です。
ビールサーバーの正面には、必ず黒いキャップのドレンコックが付いていますので、これを開ければサーバー内の水が流れ出てきます。ビールサーバーが床への直置きではなく、テーブル等の上に乗っている場合は、この方法で簡単に水を抜くことができます。流れ出てくる水をバケツ等で受けてください。水槽内には意外に多くの水が入っており、普通のバケツ一杯では受けきれないことがあります。必ず二人で作業し、バケツが一杯になりそうな時は、ドレンコックをサッと閉めてください。
ビールサーバーがカウンター下の床の上に直置きされている場合は、ドレンコックの位置が低いためにバケツで受けるのが難しい場合があります。この場合は、床を水浸しにしないためにも、サーバーの天蓋を開け、写真のように灯油ポンプを使って上から水を抜くのが良いでしょう。
無事に水を抜いた後は、上から水道水を補給すればOK。水槽の上にあるモーター等の電気的な部品をできるだけ濡らさないよう、水差しややかん等を使って丁寧に作業してください。補給するのは必ず水道水! 浄水器を通った水を入れないようくれぐれも注意してください。
フィルターの汚れ、水の劣化… この二つを改善しても着氷しない場合は、センサーやファンモーターの故障等、電気的、機械的な原因が考えられます。部品交換で対応しますのでご連絡ください。