GARGERYが似合う大人の女性アーティストにスポットを当て、リュトンを片手に、思い思いのストーリーを語っていただいています。日暮里のBar PORTOで刺青の彫師である彫燕(ほりえん)さんにお会いしました。当ブログシリーズでは初めての彫師ということで、少し緊張しながらお店の扉を開けました。

「こんにちは!東京都内で刺青の彫師をしている彫燕(ほりえん)といいます。刺青のジャンルはたくさんありますが、私は浮世絵のような絵を描く、和彫りをメインにしつつ色々な絵を身体に彫っています。」
―まさしく、お客様の身体に絵を彫っていらっしゃるということですね。
「彫師はお客様の要望や私の知識と合わせながらデザインを作り、肌に針を使って消えない絵をきざんでいきます。身体の場所によっては強い痛みが伴う作業で、時にはお客様を励ましながら、でも主には我慢を強いながら作業しています(笑)」

長く残るものを
―なぜ、この仕事に就いたのでしょう?
「子供の頃から絵を描くのが好きで、小学生の頃は漫画家になるのが夢でした。大学ではイギリスの大学で舞台美術を専攻し、帰国後は舞台美術へのコネ作りにと思ってCMの撮影スタジオで働いていましたが、頑張って作ったセットが数日で壊されていってしまうのが何だか悲しくて…。見えない相手へ向けて物を作る作業にも違和感を感じていました。相手の顔を見ながら、話しながら、そして長く残る物を作りたいという気持ちが強くなり、当時 興味があった刺青は面白いかも!となったんですね。やるなら伝統のあるスタイル、和彫りを勉強したかったので、和彫りの一門へと弟子入りしました。」

相手の想像を上回るように
―彫師をする上で大切にしていることはなんでしょう?
「和彫りは特殊で、たくさんのルールがあり、そのほとんどが口伝です。その為、デザインはお任せされる事は多いですが、皆さん色々な思いをもって彫りに来られます。どんな刺青でも、レーザーなどで消さない限りは一生消えないという事を心がけながら彫っています。デザインをチェックしてもらう時、いつも相手の想像を上回るデザインになっていますように!と心の中で願いながら見せていますね。」

―これからの抱負をお聞かせください。
「自分のスタジオを開いて去年で10年経ちました。更に10年、私を選んでくれた人に寄り添う良い物を彫っていきたいなと思っています。それと今までは勉強したいという人が来ても全て断っていましたが、そろそろ弟子を取る事も考えています。なので今は弟子募集中です!」


放心状態からの意識がグッと戻る感じ
―お酒はどんな飲み方をされているのでしょう?
「和彫りの修行中はバイトを掛け持ちしながら勉強していました。その中の一つが新宿ゴールデン街のバーで、色んなお酒を覚えたのもその頃です。友達と飲むのも楽しいですが、一人で飲みに行って、お店の人やバーに居合わせた人たちと楽しく飲むのも好きです。」
―特に印象に残ったエピソードはありますか?
「彫師の修行中に働いていたバーで、お能のシテ方の先生がよく来てくださっていたんですよ。代々シテ方の家系だそうで、その先生自身も幼少期から能舞台に立たれていて、和彫りにもよく使われる能面、特に般若面について色々お話を聞く事ができました。その先生が舞う時にはお能を観に行ったり、衣装の虫干しの時には声をかけていただいて、博物館クラスの凄く貴重な能面を見せてもらいました。絵の資料にと色々な衣装や能面の写真をたくさん撮らせてもらい、般若を描く時は今もその資料を参考にして描いています。お面が使われる演目や役柄を理解してデザインに落とし込む事で、深みのある物になったと感じています。」

「ガージェリーは…、刺青を彫る時は集中力を凄く使っていて、長い作業のあとは放心状態に近いです。そんな時に飲むと、意識がグッと戻る感じがして好きです。グラスもカッコ良いので、気分も上がりながら疲れを取っています。」

撮影協力:Bar PORTO(日暮里)


