BLOGガージェリーブログ

【along with her story】ミュージシャン 広瀬朝子

GARGERYが似合う大人の女性アーティストにスポットを当て、リュトンを片手に、思い思いのストーリーを語っていただいています。日暮里のBAR PORTOでミュージシャンの広瀬朝子さんと待ち合わせました。

東京を拠点に全国のジャズバーやレストランでのライブ活動を行いつつ、Youtubeでは、Reejoice(リージョイス)という日本語JAZZユニットでオリジナル曲を公開。また、お経や民謡など和の要素を取り入れたハイブリッドなJAZZやインプロ(即興音楽)にも挑戦しているという、意欲的なジャズシンガー、広瀬さんにお話をお聞きします。

ピアノ塚本周一さん、ベース柳真也さんとのライブ

試練から得たもの

「以前は月に10 回ほどライブをしていたんですが、最近は月2回限定で行っています。実は数年前に難聴になり(耳を酷使するミュージシャンには多い病気)、一時は日常生活に支障が出るほど聴力が落ち、音程も分からなくなったので、しばらく音楽活動を休止しました。難聴は完治しない病気ということで、もう音楽は出来ないのではないかと非常に落ち込み苦しい日々を過ごしました。サプリ、漢方、鍼灸、整体、ヨガ、ピラティス… もうどれが効果があったのかわかりませんが、今では月に2回程度ならライブが出来るほどに回復しました。」

「まだ聞ける音に制限があるので、普段はノイズキャンセリングヘッドホンや耳栓を着用して、耳を保護しています。特徴の違うものを数種類持っていて、状況に合わせて使い分けているんですよ。」

その日の予定に合わせて2-3種類持ち歩く

「制限がある中での活動は大変そうと思われるかもしれませんが、実は難聴になる前よりも今の方が何倍も音楽が楽しいんです。出来ない事もありますが、出来る事は無限にある事に気づかされました。療養中、耳を使わずに出来る音楽活動として作詞を始めたんですが、その後歌ってみると好評で、今では作詞は私にとって重要なものになっています。」

「何よりも歌える事の喜びと支えてくれる仲間の大切さを改めて実感する事ができたので、あのタイミングで病気になって本当に良かったなと思います。」

ジャズ発祥の地へ

「東京のアン・ミュージックスクールでボーカルを学んだ後、さらに本格的にジャズを勉強したいと思い、ジャズ発祥の地アメリカ、ニューオリンズの大学に留学しました。ニューオリンズのレジェンド的ドラマーBob Frenchのラジオ番組で生放送で歌わせていただいたり、Eddie Bo、Charmaine Nevilleなど有名ミュージシャンとも共演させていただいたりと、現地でミュージシャン達との交流を通して本場のジャズを体感する事が出来ました。」

「現地で生活してみると、音楽はその土地の気候、食べ物、宗教や歴史と切っても切れないものなんだなと実感しました。そんな中、2005年にニューオリンズを中心に大きな被害をもたらしたハリケーン・カトリーナで被災し、その後しばらくブルースの街メンフィスで避難生活を送った後、2006年に帰国しました。」

世界と向き合って、日本の素晴らしさを発見した

「2016年には、ニューヨークでグラミー賞受賞ミュージシャンらと1stアルバム”That’s How I am” をレコーディング、自らレコードレーベル”Jazz me entertainment”を立ち上げ、CD製作・販売の手続きを行いました。 日本国内でだけでなくアメリカの代理店とも直接契約し海外へも流通させています。その全行程を調べるのにとても苦労したので、”CDの作り方” というブログにまとめました。このブログとやる気が有れば誰でも自分の音楽を全世界で販売することができますよ。」

Asako Hirose (Vo)
Tivon Pennicott (Ts)
Ben Paterson (Org&Pf)
Michael King (Rhodes&Pf)
Darrian Douglas (Dr)
Kyle Poole (Dr)
Nori Naraoka (Bs&Producer)
NYレコーディングメンバー
左からKyle Poole, Nori Naraoka, Michael King, Tivon Pennicott

「2018年には世界的に活躍しているギタリスト、ジオ・グイドと共に日本語で歌うJAZZユニットとしてReejoiceを結成しました。日本語が持つ唯一無二のグルーヴをジャズ・フュージョンのサウンドに乗せて表現しています。」

Reejoice「お疲れ様 -Otsukaresama-」

「近頃は、JAZZスタンダードにお経の旋律や民謡の発声方法を取り入れています。というのは、アメリカから帰国した時に日本の音楽の素晴らしさを再発見したので、日本に生まれた私だからこそできる表現を模索しています。実は今日も着物に洋装のアイテムを合わせるというフュージョンを楽しんでいます。」

仕事と音楽、それぞれに集中する

「私は音楽活動の傍ら日中は仕事をしていて、アメリカ生活の経験を活かして外資系企業で働いています。音楽学校時代から仕事と音楽活動の二足のわらじ生活で、パートタイムや派遣、深夜・早朝バイトなど色々やりましたね。当初は生活のために仕事もするという感覚でしたが、30代で仕事のキャリアアップも考えるようになり、今の職場に転職しました。」

「こちらでは音楽のみならず、芸術やスポーツで高成績を残しておられる方、子育てや家族との過ごし方を大切にされている方など、働き方の多様性が尊重されています。テレワーク可、フレックスタイム制で音楽活動と無理なく両立できる環境ですが、音楽活動を充実させるためにも会社では質の高い仕事をして信頼を得られるよう心がけています。仕事の時は音楽の事は一切考えません。在宅勤務中に好きな音楽をかけるという方も多いようですが、私はしないですね。日々の練習は1時間くらいしか取れないんですが、集中して濃い練習をするようにしています。その後飲む時間もちゃんと確保するんですけどね!」

ガージェリーとの出会い

「帰国後しばらくは地元大阪で活動をしていましたが、2015年に東京に活動拠点を移しました。まだ東京で知人も少ない頃に、中野の ZAZIE(ザジ)という小さなBarに立ち寄ってビールを注文したところ、見た事のないグラスに注がれた美しいビールにびっくり!私のリアクションを見て居合わせたお客さんも笑っていました。これが私とガージェリーの出会いです。」

BAR ZAZIE(中野)にて

「ZAZIEはJAZZライブも開催しているお店で、その後私も出演させていただくようになりました。音楽に詳しいマスターがミュージシャンを紹介して下さってご縁が広がったり、仕事や恋愛で悩んでいた時にもアドバイスをしてくださったりと公私ともにお世話になっています。

BAR ZAZIEでのライブ(ピアノ永武幹子さんと)

「ここ、BAR PORTOでもよくライブをさせていただいていて、ライブ後に共演者と一緒にガージェリーで一息つくというのは恒例になっています。ガージェリーは乾杯もできるし、ゆっくり語り合いながら飲むこともできるマルチなお酒ですからね。」

BAR PORTOでのライブ(ベース安ヵ川大樹さんと)

「ほぼ毎晩飲むので家飲みも多いですが、誰かとコミュニケーションしたい時には飲みに出ます。友人を誘う時もありますし、一人でカウンターに座ってマスターと話すのも好きですし、居合わせた方と会話をするのも楽しいですね。初対面の方と意気投合してお友達になるという事も少なくありません。バーテンダーのバイトをしていた事もありますが、お客さんとお話しするのは楽しかったです。Barは一期一会の出会いを楽しめる場所ですね。」

*

広瀬朝子Webサイト

広瀬朝子Liveスケジュール

Ameblo – CDの作り方

Amazon – 広瀬朝子1stアルバム”That’s How I am”

Youtube – 日本語JAZZユニット”Reejoice”

*

撮影協力:「BAR PORTO」(日暮里)

TOP