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【along with her story】 絵本作家 ごみたこずえ

GARGERYがよく似合う大人の女性アーティストにスポットを当て、リュトンを片手に、思い思いのストーリーを語っていただいています。今回は絵本作家の ごみたこずえさんと日暮里のライブバー「BAR PORTO」で待ち合わせました。まずはガージェリー・スタウトで乾杯の後、絵本作家になったきっかけから聞いてみたいと思います。よろしくお願いします!

「私は、もともと設計職をやっていましたが、2年ほど前に退職して、今は絵本作家をしています。この世界のいろいろなことを掘り下げて考えるのが大好きで、そうして見つけた面白いことや素晴らしいことを形にすることが大好きなんです。そういうところが前職の設計職にも今の絵本作家活動にも繋がっています。」

子供に何かを伝えるために、まず社会に出る

「絵本作家になることは学生時代から考えていたことでした。この世界には面白いことがたくさん隠れているっていうことを教えてくれたのは、子供時代に読んだ絵本や雑誌やテレビや映画でしたので、そういうものを伝える側になりたいなぁと思っていたんです。また、そういう世界の面白いや素晴らしいを知るたびに私の頭の中に見えそうで見えない景色の空気や色だけがチラついていました。なので、その空気や色も目に見えるものにしたくて絵本作家になりたいと思っていました。

でも、世の中一般の多くの人が味わう苦労も知らないうちに、子供に何かを伝えようとするのは無責任なのではないかという気持ちがあって、何より科学が大好きでした。なので、まずは科学を実生活に役立てる面白さや苦労を存分に味わってみようと思って、設計職に就きました。今にして思うと、この選択は本当に正しかったと思います。正に、実生活に関わる仕事に責任の重さとやりがいと誇りを感じることができましたし、感情だけでは乗り越えられない問題も、理論だけでは乗り越えられない問題もあることが実感できました。優しさの意味は人によってそれぞれで、絶対悪も無いと思えるようになったので、いろいろな角度からものを見ることを意識できるようになりました。」

やりたいようにやろう

「そこの職場で8年が過ぎた時、「ここにいて自分は幸せか?」と改めて考えたんです。そうしたら「今こそ、ここでの経験も踏まえてこの世界の面白い・素晴らしいを形にしたい」と思えて、退職して絵本作家になることをきめました。正直、今までの職を捨てて成功する補償のない絵本作家になることはかなりの賭けでした。でも、実は7年前に交通事故で脳を損傷したことがあって、その時命は助かったものの、神経麻痺で世界が完全に2つに見えるようになってしまって、一時は一生治らないといわれて絵本作家になる夢をあきらめかけたことがあったんです。それが、自分の身体を受け入れた時から、途端に回復に向かって今では完全に普通に見えるようになったという経緯があって、せっかくもう一度もらったチャンスを棒に振ってはもったいない、一度亡くなった命なのだから捨てたつもりでやりたいようにやればいいという気持ちになったんです。

また、その職場のみなさんからも励ましをたくさんいただきました。「戻りたい時はいつでも戻っておいで」という言葉には本当に感謝しています。」

子供向けも、大人向けも

「最近の主な活動は「大人向け」の電子書籍絵本の制作です。絵本屋.comというレーベルから現在全部で6冊出ています。絵本作家を始めようとした当時は子供を対象にした絵本だけに焦点を当てていましたが、大人になった今でも新しい発見がたくさんあることを考えると「この世界の面白いものや素晴らしいものを共有するのに大人も子供もない」と思ったんです。それで、大人向け絵本も描くようになりました。最初に描いた「どうか幸せになって」は、絵本作家になりたての自分に対するエールや、事故で生死をさまよった時に学んだことや、前の職場で味わった苦労から学んだことを詰め込んだ作品で、有り難いことにAmazonのkindle絵本部門でランキング1位をいただくことができました。」

「今現在の最新作は「君とみる夢」という全4巻構成のミステリーホラー絵本の最終巻です。これはFMHOT839という相模原のラジオ局で、毎週月曜21時から放送中の「テイクハートタイム」というラジオ番組で脚本を書かせていただいた同タイトルのラジオドラマを絵本化したものです。」

(ラジオFMHOT839「テイクハートタイム」)

「絵で世界感をじっくり味わいつつ、小説のように自分で想像力を膨らませられるような「絵本小説」という感覚で読んでもらえたらいいなと思い、冒険的な描き方をした作品です。」

「大人向け絵本ということで存分に恐怖を感じてもらおうと思って張り切って描きましたが、その甲斐あって「怖いよ」と良く怒られます(笑)。この作品はホラーですが、私が作品を作る時に一貫しているのは「この世界の面白いや素晴らしいを共有したい」ですので、この作品もその気持ちは一緒です。」

「子供向けに描いた絵本としては、文芸社の絵本コンテストで優秀賞をいただいた「うちゅうのそとをみてきたんだ」を出版中です。」

「これは、自分が子供の時に世界に感じたワクワクと、大人になった今「世界には子供の時の想像を遥に超える可能性がある」と感じていることを形にした作品です。私が子供の時には「うちゅうのそと」なんて想像できなかったけど、子供の頃から「うちゅうのそと」を想像したら、大人になるころにはどこまで想像力が広がるんだろう、なんてことを考えてワクワクしながら描きました。」

この世界の面白いや素晴らしいを共有したい

「描くときに心がけていること…。やはり「この世界の面白いや素晴らしいを共有したい」ということですね。なので、絵を描く時には、絵よりも描かれている対象そのものの魅力に目がいくような絵を意識して描いています。風景の絵であれば「そこに行きたいな」と思えるような絵だったり、食べ物の絵であればその食材の触感やにおいの他にもその食べ物を囲むその瞬間の温かい空気感を感じられるような絵を意識していますね。」

「今は、4~5歳を対象とした知育絵本を描いています。考えることの楽しさが分かれば、自分で「この世界の面白いや素晴らしい」を探し出せるようになりますから、そのきっかけになりたいと思っています。」

「大人向け絵本は今後も制作していきますが、これからは子供向け絵本もどんどん増やしていきたいですね。絵本以外でも、私は対象の魅力を絵にすることが嬉しくて、それは絵本に限ったことではないと思っています。なので、イラスト業もどんどん広げていきたいなと思います。」

一人で飲みに行くことで、出逢う愉しみ

「私、昔からお酒が大好きで、一人でBARに飲みに行くのが好きなんです。もちろん大勢で飲むのも好きですけど、一人で飲みに行くことにはいろんな魅力があります。BARに一人で飲みに行くと、お店の人の気配りもあいまってたまたま隣になった人と話をすることがあります。BARで出会う人というのは自分と同じ世界の人とは限らないので、たくさん面白い話をきくことができますし、気が合わなければ無理に付き合う必要はないので変に気を遣わず自由気ままに話ができます。今では気心の知れた飲み仲間がたくさんできました。」

「印象深い経験は山ほどありますが、一番心に残っているのは私が事故で入院した時、たくさんの飲み仲間やBARの店員さん達が何度もお見舞いに来てくれたことですね。入院中に迎えた誕生日にはみんなでケーキを持ってお祝いにきてくれたりして。退院後には、父がぜひご挨拶に行きたいというので二人でそのお店に行きました。その時は父もずいぶん嬉しそうで、私も、私の無事を喜んでくれる人達の店で父とゆっくり飲めるその状況が何とも言えず嬉しかったです。

ガ―ジェリーは私がよく行くお店に置いてあって、みんなお店に入ってくるとまず最初に頼むことが多いお酒です。楽しい思い出と一緒にあるお酒なので、別の店でも見かけるとつい頼みたくなります。あの、苦みと甘みと泡のコクも大好きなんですよね。最初BARに行き始めた頃には、あの独特のカタカタいうグラスが新鮮で嬉しくなりましたよ。」

(BAR PORTO店主の伊藤さんと)

<ごみたこずえさんの絵本情報>

【レーベル:絵本屋.com(大人のための電子書籍絵本レーベル)出版社:ごきげんビジネス出版】

題名:どうか幸せになって
媒体:kindle電子書籍(¥432)オンデマンドペーパーバック(¥1382)
あらすじ:読む人それぞれにそれぞれの幸せを与える、90年前の願いのこもった本の物語
備考:Amazon_kindle絵本カテゴリ―最高1位

題名:ゆめみたことがすべてのはじまり
媒体:kindle電子書籍(¥432)、オンデマンドペーパーバック(¥1382)
あらすじ:見る夢を持たない二人の少年少女が『ゆめをかなえるまほうのほん』を拾ったことで夢を作り、その夢に向かって奮闘する可笑しな日々を描いた物語
備考:ラジオドラマ「君とみる夢」との関連作品で、「君とみる夢」の謎を解くカギになる

題名:君とみる夢(全四章、一章各一冊)
媒体:kindle電子書籍(¥432/一冊)
あらすじ:記憶を失くした少女と、彼女と夢を叶えようとしていたという青年の二人の周りに起きる謎を解いていくホラーミステリー
備考:FMHOT839(FMさがみ)で放送中のラジオ番組『テイクハートタイム』で連載されたラジオドラマ(原作:同作者)を絵本化したもの

【出版社:文芸社】
題名:うちゅうのそとをみてきたんだ
媒体:紙書籍(¥1296)
あらすじ:ひろくんの夢には、いつも同じトロッコが出てきます。ある日、そのトロッコに乗ってみたひろくんは、「うちゅうのそと」まで行くことになります。「うちゅうのそと」には、宇宙のすべてを作る工場があり、巨人のノビルが働いていて──。
備考:第11回えほん大賞絵本部門優秀賞受賞作品
現在品薄でネットショップでの入手は困難なため、以下リンク(在庫のある可能性のある書店一覧等紹介ページ)をご参照ください。
https://cozuegomita.wixsite.com/gomita-kozue-jp/blank-8

その他、ごみたこずえさんの情報は、ホームページでどうぞ。
ごみたこずえのページ

撮影協力:BAR PORTO

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